【大学生の海外留学・国際交流】必要なお金から、インターンシップまで…実現への提案12

2024/04/26

■特集:イマドキの留学・国際交流

大学生になったら海外留学をして、学びを深めたり、視野を広げたりするのも一つの選択肢です。違う文化の人たちと触れあって、自分の世界を広げることは大きな学びになります。海外に限らず、国内で留学生と国際交流を楽しむのもいいでしょう。留学に関するお金から、いろいろな留学の行き方や海外インターンシップなど、イマドキの留学や国際交流について12の新しい方法を幅広く紹介します。(写真=Getty Images)

 

 目次 

1.イマドキの大学生の留学事情

2.海外留学、いくらかかる?

3.インターンシップも海外で

4.非英語圏への留学

5.理系学部こそ英語力がカギ

6.キャンパス内で親孝行留学

7.日本にいながら日常をグローバル化

8.「年内入試」組は入学前に海外研修

9.大学時代に長期留学したいなら

10.お金をかけずに留学 あの有名企業に就職も

11.国際学生寮で留学生と共同生活

12.留学生と交流しながら大学生活をサポート

 

1.イマドキの大学生の留学事情

最近の大学生の留学事情は、どうなっているのでしょうか。

日本学生支援機構(JASSO)の「日本人学生留学状況調査」によると、海外留学する学生数は2009年度から10年間は右肩上がりに増加し、18年度には約11万5千人に上っていました。ところが、19年末からコロナ禍が広がったことで、20年度は大幅減。23年の新型コロナウイルス感染症の5類移行で再び増加に転じるかと思われましたが、円安と物価高が進んだことにより、コロナ前の水準まで戻り切っていないのが現状です。

ただし、海外留学が伸びている地域もあります。例えば、物価は上昇しているものの、学費が日本の大学と同程度のヨーロッパの国。タイやベトナムといったアジア圏も、学費が年間30万~200万円と安く、渡航費も抑えられるうえに、英語で学べるコースが充実しているため、人気が出ています。

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2.海外留学、いくらかかる?

海外留学を考えたときに、気になるのが費用です。例えば、留学先として人気のアメリカは、授業料だけで年間300万~1000万円程度。それに加えて生活費が、円安の今は年間150万~300万円程度かかります。

ただし、留学費を抑える手もあります。まずは、在籍する大学が協定を結んでいる海外大学で学ぶ「交換留学制度」を利用する方法です。日本の大学に授業料を払えば、留学先の授業料は免除されるため、生活費や渡航費などの負担だけで留学できます。また、行き先をEU圏やアジア圏にすることで、学費や渡航費を抑えることもできます。

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3.インターンシップも海外で

期間限定で企業での仕事を体験できるインターンシップは、23年度から一定の要件のもと、インターンシップで得た学生の情報を採用に利用することが認められたことで、関心がさらに高まっています。

このインターンシップを、海外で行う大学もあります。東京都市大学もその一つ。各分野で活躍する卒業生の協力を得て、11年度から23年度までの間に300人以上の学生をフィリピン、タイ、インドネシア、アメリカ、オーストラリアなどにある40以上の企業や団体に派遣してきました。

海外インターンシッププログラムへの参加後、「自分の進路が明確になった」と話す学生もいます。「外国語を学ぶ」だけでなく「海外で働くこと」に興味がある学生にとっても、大きな収穫を得られる経験となりそうです。

(写真=東京都市大学提供)


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4.非英語圏への留学

海外留学先として、あえて非英語圏の国を選ぶ学生もいます。名古屋外国語大学外国語学部4年の秋山あみりさんは、母親が海外出張で行ったフランスの美しい街並みに惹かれて、フランス語を猛勉強し、22年9月から約8カ月間、フランス北西部のカーン(Caen)にあるカーン大学で交換留学生として語学を学びました。

秋山さんは、大学の手厚い留学支援のおかげで、留学にかかった費用は娯楽費以外はほぼ持ち出しがなかったそうです。進学先を選ぶ際は、留学先や支援についても確認するといいでしょう。

(写真=秋山あみりさん提供)


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5.理系学部こそ英語力がカギ

留学に必要な英語というと、文系学部のイメージが強いかもしれませんが、英語が不可欠なのは、理系学部も同様です。

中央大学理工学部人間総合理工学科の檀一平太教授は「理系の分野では、英語ができないと研究が不可能な時代になってきました。研究対象がグローバル化し、研究論文の投稿先は基本的に英文誌です」と話します。さらに「1年以上の長期留学で生涯賃金が約5千万円上がり、大学院を修了すればさらに約5千万円上がるという試算もあります」とのこと。同学科では、多くの授業を英語で行っています(選択制)。希望者には、学科教員自らが英語を教える補講的な時間を提供し、交換留学も1年次から積極的に推奨しています。

(写真=中央大学提供)


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6.キャンパス内で親孝行留学

円安や物価高で海外留学の費用が大幅に上がるなか、海外に渡航せずに海外大学の授業を学ぶ「国内留学」が注目されています。

昭和女子大学では、大学の敷地内に誘致したアメリカのペンシルべニア州立テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)と協定を締結し、「海外渡航なし」のダブル・ディグリー・プログラムを実施しています。ダブル・ディグリー・プログラムとは、日本の大学に在籍しながら海外の提携大学でも一定期間学び、4~6年という短い期間で、双方の大学の学位を取得できる制度です。

同プログラムは、渡航の必要がないため、家計の負担が少ない「親孝行留学」であることも特徴です。とはいえ、TUJはアメリカの大学であるため授業はもちろんすべて英語。プログラムに応募するには英語能力試験の高い基準をクリアする必要があります。

(写真=テンプル大学ジャパンキャンパス提供)


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7.日本にいながら日常をグローバル化

海外留学しなくても、日本の大学で学ぶ海外留学生とキャンパスで国際交流できる大学も増えています。

世界32カ国から留学生が集う帝京大学の八王子キャンパスには、21年春、日本語ランゲージコモンズ「OUCHI COMMONS(オウチコモンズ)」がオープンしました。留学生の居場所として、また留学生と日本人学生が共生交流できる場として、昼休みなどはほぼ満席になるほどの人気です。

その活動を支え、訪れる学生の要望を大学職員につなぐ役割を果たしているのが、留学生と日本人学生合わせて約15人の「オウチコンシェルジュ」です。高校時代からグローバルな取り組みをしたかったという学生もいれば、入学してからこの拠点を知ったという学生もいますが、留学生との濃いコミュニケーションに刺激され、海外留学へステップアップする人もいます

(写真=帝京大学提供)


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8.「年内入試」組は入学前に海外研修

総合型選抜などの年内入試でいち早く合格を得た受験生に対して、入学までの期間を利用した「入学前教育」に力を入れる大学が少なくありません。インターネットを利用した学習や、読書感想文やエッセーを課すケースなどさまざまですが、東北大学では、AO入試(総合型選抜)の合格者を対象に、アメリカやイギリスでの1~2週間の海外研修を実施しています。

※「AO入試」は文部科学省が21年春入学の試験から「総合型選抜」と名称変更しましたが、東北大学などでは現在も「AO入試」の名称を使用しています。

24年度入試の入学前研修では、ハワイ大学マノア校、カリフォルニア大学バークレー校、ヨーク大学、国際教養大学(国内)での4コースを用意しました。参加費用はコースごとに異なるものの、大学で手厚い財政支援を行っており、一定の要件を満たして研修を修了した参加者は大学の単位を取得できます。合格後の時間を有効活用し、大学での学びにもつなげる取り組みとして、注目を集めています。

(写真=参加者提供)


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9.大学時代に長期留学したいなら

費用を抑えて海外大学に長期留学するなら、在籍する大学が協定を結んでいる海外大学に行く交換留学(派遣留学、協定留学)が得策です。現地で修得した単位が日本の大学の単位として認められるため、休学の必要がなく、大学を4年間で卒業できます。授業料も、在籍する大学に納めていれば、留学先への支払いは免除されます。ただし、交換留学には募集枠があり、TOEFLやIELTSといった英語試験やGPA(Grade Point Average/大学の成績指標)が基準値をクリアしていることなどが条件となるため、早めの準備が必要です。

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10.お金をかけずに留学 あの有名企業に就職も

円安や物価高で留学に二の足を踏む学生も多いなか、給付型奨学金を獲得して留学を実現する学生もいます。筑波大学社会・国際学群の菅野胡桃さんは、3年生だった21年10月から約1年間、官民支援プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラム」でドイツのケルン大学に留学しました。

現地では、日本貿易振興機構(JETRO)の事務所での課外活動にも参加。さらに、興味のある日本の企業にドイツからオンラインで就職活動を行い、アマゾンジャパンから内定をもらいました。「海外で追究してみたいテーマを持つ大学生や高校生の方は、ぜひ奨学金留学に挑戦してほしい」と話します。

(写真=菅野胡桃さん提供)


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「お金をかけずに留学したい」 奨学金を獲得した学生が、応募書類に書き込んだ「計画」

 

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11.国際学生寮で留学生と共同生活

大学進学を機に親元を離れるなら、国際学生寮の「レジデント・アシスタント(RA)」として、外国人留学生とともに寮生活を送るのもいいかもしれません。東京都立大学では、12年度からRA制度を導入し、9人のRA(24年1月時点で)が、国際学生寮「グローバルハウス調布」で約60人の交換留学生らと共同生活をしながら、入退去の手続きなど日常的なサポートをしたり、親睦を深めるために寮内でのイベントを企画・運営したりしています。

(写真=東京都立大学提供)

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12.留学生と交流しながら大学生活をサポート

東京理科大学では、22年度に外国人留学生と日本人学生との交流を図るための学生団体「東京理科大学キャンパスメイト」が発足しました。留学生同士で交流する留学生会と違い、留学生も日本人学生も同じ東京理科大学の学生としてつながっているのが特徴です。6人で発足したキャンパスメイトは、今では300人ほどに広がり、大学との懸け橋のような存在になっています。

(写真=東京理科大学提供)

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※学年や肩書は取材時のものです。

>>特集:イマドキの留学・国際交流

 

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