睡眠4時間、勉強熱心だけど…授業中に居眠り 原因は親のプレッシャー?

勉強しすぎて睡眠時間が少ない高3男子 このまま本番まで突き進んで大丈夫?

2023/11/24

■思春期子育てお悩み相談

大学受験を目指す高校生は、扱いにくい年頃ですから、親の言うことを素直に聞かず、困っている家庭も少なくないかもしれません。年間約3000組の親子をサポートする思春期の子育てアドバイザー、道山ケイさんに、リアルな悩みを聞いてもらいました。(イラスト=風間ほくほく)

【質問】
高3の息子は毎晩遅くまで受験勉強しており、睡眠時間は4時間程度しかありません。やる気になっているのはいいことですが、毎朝起こすのが一苦労です。しかも、「授業中に居眠りしていることが多い」と担任の先生から注意を受けました。体調も心配だし、入試の本番当日に遅刻でもしたら努力はすべて水の泡です。睡眠時間を削って勉強する生活をこのまま続けてもいいのでしょうか。息子が生活リズムを整えられるよう、親にできることはありますか。(40代母親/東京都在住)

過度なプレッシャーをかけていませんか?

【回答】
ティーンエージャーの睡眠時間の大切さは科学的データでも示されていますし、僕もこの勉強方法はあまりおすすめしません。でも、忘れてはいけないのは、中学までと違って、高校の勉強も大学進学もすでに義務ではないということです。つまり、どのように受験を進めていくかは、基本的には本人に決めさせるべきだと思います。僕自身もそうでしたが、大学受験が近づくほど、学校の授業を聞くよりも独学のほうが効率的に勉強できると考えるようになる生徒は多いです。この息子さんの場合も、自分の意思と判断によって、足りない睡眠時間をあえて授業中に補っているのかもしれません。

遅刻についても理解していて、「これ以上遅刻したらヤバイ」などと、学校の状況をきちんと把握しているのではないかと思います。確認したいのは、息子さんがそこまで必死に勉強する理由です。もし、親が過度なプレッシャーをかけているのなら、改めてほしいと思います。例えば、「○○大学に落ちたら絶対に許さない」とか「受験に失敗したら働きなさい」とか言っていませんか。

特に厳しく言っていないとしたら、親がやるべき一番の仕事は、今の頑張りを認めたうえで「無理しないでね」など気遣う言葉をかけてあげることです。親が強引に生活リズムを変えさせるよりは、なるべく自然に自分のペースを保てるようにしてあげましょう。これほど頑張っている息子さんだと、入浴や食事の時間も惜しいと思っているはずなので、休憩のタイミングに合わせてお風呂を空けてあげるとか、おやつや食事を用意するとかですね。もちろん顔色が悪くないかなど、体調をよく見てあげることも大切です。受験本番の1週間前ぐらいからは少し早く寝て、睡眠時間を増やしていくようにアドバイスするのもいいでしょう。4時間睡眠はやはり少ないかなと思いますし、しっかり寝たほうが集中力が高まるのは間違いないからです。

親の心配しすぎ 「自分を信じてくれていないんだ」と感じる子ども

子どものことが心配になるお母さんの気持ちはわかります。でも、あまり親が先回りして心配しすぎると、子どもは「自分のことを信じてくれていないんだ」ととらえます。その揚げ句に、「もうほっといて」などと反発し、親子関係が悪くなってしまうことになりかねません。毎朝起こすのも大変でしょうが、子どもに「どうする?」と聞いて、「起こしてほしい」と答えるなら、起こしてあげましょう。起きなくていいと思っているわけではないし、こう頼むのは親子の信頼関係の表れでもあります。

ただし、寝起きの不機嫌さから暴言が出たり、親には何を言ってもいいと思っているような態度があったりしたら、叱っていいと思います。暴言を吐かれれば、親だって傷つきますよね。そこは親のほうも、自分の気持ちを正直に言って、「あなたを起こすたびにつらい思いをしている。これが続くようならもうできない」という線引きを示しましょう。

もし本番の試験で寝てしまったらどうするのか、ですか。これぐらい必死に勉強できる子なら、きっと大丈夫ですよ。ただ、もし大学受験を自分の過失でふいにし、失敗したとしても、そこで初めて子どもは「親が言ったことが正しかった」と気づいて成長するものです。学ぶことも必ずあるので、親もあまり失敗を恐れないでください。

心配しすぎるよりも、しっかりわが子を信じてあげてください。勉強しすぎる子を心配するというのは、ぜいたくな悩みです。自主的に勉強する子どもを誇りに思うくらい、親はどんと構えていてください。

道山ケイ(みちやま・けい)/思春期の子育てアドバイザー

道山ケイ(みちやま・けい)/年間約3000組の親子をサポートする思春期の子育てアドバイザー。元中学校教師の経験を生かして思春期の子育て法(愛情バロメータ理論・なかよし貯金理論)を確立。メルマガとLINE講座の読者は合わせて5万人を超え、「親子関係が良好になる」「子どもの成績が上がる」と話題に。各種メディアへの寄稿のほか、著書に『親子で一緒にやるからできる中学生の勉強大全』(主婦の友社)、『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!』(すばる舎)などがある。

(文=朝日新聞Thinkキャンパス編集部、写真=本人提供)

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