スマホは移動中の暗記学習に最適 上手に使いこなす受験勉強法とは?

スマホは移動中の暗記学習には最適 上手に使いこなす受験勉強法とは?

2023/12/20

■特集:保護者の悩み・スマホは受験の味方?

「受験勉強の妨げになる」といわれるスマホですが、勉強にうまく取り入れている中高生もいるようです。どのような使い方をしているのでしょうか。専門家に聞きました。(写真=Getty Images)

紙とスマホをうまく使い分ける中高生

学習管理アプリ「Studyplus(スタディプラス)」を提供するスタディプラス株式会社の取締役で、Studyplusトレンド研究所所長の島田豊さんは、スマホの使用について、「スマホにはデメリットがあることを理解したうえでうまく使えば、受験勉強の味方になる」と話します。

スマホで学習をするためのツールとしては、有料制の映像授業や、勉強系YouTuberが配信する学習動画、学習アプリなどがあります。また、学習系のSNSで仲間から励ましをもらったり、情報交換をしたりといった使い方でモチベーションを高めている受験生もいます。

「読む・書く」という中高生たちの学習スタイルを調べると、紙による学習と、スマホやタブレットなどのデジタル端末を使った学習を上手に使い分けている様子がうかがえると、島田さんは言います。

「全国のStudyplusのユーザー2967人を対象にしたアンケートでは、記述する場合は紙を使っている中高生が多いという結果が得られました。自宅で記述する場合は、『紙しか使用しない』人の割合が35.2%と高く、これは問題を解いたり、暗記したりする際にノートに書いているのだと思います。一方、電車などでの移動時にはスマホなどのデジタル端末を使っている人も多く、主な目的は暗記です。紙とスマホのそれぞれのメリットをうまく組み合わせて学習している印象です

紙は全体像がつかみやすい スマホは移動中の暗記に最適

紙のメリットを尋ねる質問(複数選択可)に対しては、1位「メモを取りやすい」(71.1%)、2位「解く過程が残るので、間違っている箇所などに気づきやすい」(64.6%)、3位「暗記しやすい」(59.8%)の順に高くなっています。

紙に書くことで学習内容を定着できることは、多くの人が実感するのではないでしょうか。

4位には『全体像をつかみやすい』という回答が入っています。私自身もじっくりと目を通す必要がある資料は、プリントアウトして確認することもあります。パラパラとめくって全体像をつかみやすいのは、紙ならではの特性だと思います」(島田さん)

(「Studyplusトレンド研究所」提供)
(「Studyplusトレンド研究所」提供)

一方、紙のデメリット(複数選択可)として挙げられたのは、1位「重くて持ち運ぶのが大変」(67.8%)、2位「場所を選ぶため、気軽に勉強しづらい」(55.8%)、3位「移動中に見づらい」(54.3%)ということでした。

分厚い教科書や資料集、紙の辞書を持って移動する大変さは、だれもが体験しているでしょう。スマホを利用すれば、このデメリットが解消できます。

暗記目的で単語アプリを利用したり、学びたい部分のスクリーンショットをとって、電車の中で繰り返し覚えたりしている人が多いようです。暗記系の勉強はスマホと相性がいいと思います」(島田さん)

(「Studyplusトレンド研究所」提供)
(「Studyplusトレンド研究所」提供)

勉強以外の使用に注意

アンケートの回答からは、スマホの使用に悩む様子も見られます。デジタル教材のデメリット(複数選択可)については、1位「学習と関係のないことをしてしまう」(77.9%)、2位「目が疲れる」(69.7%)が上位に挙がっています。

「スマホには学習系以外のコンテンツもたくさんあるので、注意しないとつい、勉強以外のことに使ってしまいます。スマホは設定によって使用時間やアプリの利用時間を制限することができます。お子さんがスマホをやめられない場合は、こうした機能の利用をアドバイスするのもいいかもしれません」(島田さん)

島田さんは、Studyplusのユーザー数が高校3年になると増えることから、「大学受験が近づいてくると、スマホの使用目的が学習にシフトするようになり、自らスマホとの付き合い方を考える高校生が多いのではないか」と分析します。

子どもと同じ目線に立って話し合うことが大事

ただ、受験生であっても、友人との連絡や情報収集などのために、スマホはある程度必要です。島田さんはこうアドバイスします。

「お子さんとスマホとの付き合い方について話すときは、こうした事情を理解したうえで、いきなり契約を解除したり、勉強に関係ないアプリを削除させたりするのではなく、『大学でやりたいことがあるんだよね。だったら勉強時間を確保しないといけないから、少しスマホの使用時間に制限をかけてみたら』などと子どもと同じ目線に立って話し合うことをおすすめします。デジタルツールに関わっている立場の回答としては意外かもしれませんが、友人や親子の信頼関係をつくるために最も大事なのは、リアルなコミュニケーションだと感じています」

島田 豊(しまだ・ゆたか)/スタディプラス株式会社取締役。

島田 豊(しまだ・ゆたか)/スタディプラス株式会社取締役。若者の「いま」を研究するStudyplusトレンド研究所所長。オンラインゲーム企業やクラウドサービス企業で広報や新規事業開発、マーケティング、Webメディアの事業責任者などを歴任したのち現職。

(文=狩生聖子)

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