苦手科目の成績が伸びない…塾講師が語るおすすめ「問題集」

2023/08/31

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受験勉強の足を引っ張ったり、進路選択の悩みの種になったりしがちな苦手科目ですが、克服する良い手立てはあるのでしょうか。多くの受験生の苦手克服をサポートしてきた塾講師の弓場汐莉さんのアドバイスを読めば、「まずはやってみよう」と思えるかもしれません。(写真=Getty Images)

【質問】

苦手な科目の成績がどうしても伸びなくて悩んでいます。見直すべきは、勉強法、塾、それとも時間の使い方でしょうか。(高校3年男子) 

まずは意識の壁を取っ払うことから

【回答】

ズバリ、見直すべきは「意識」です。というのも、苦手は「食わず嫌い」である場合がほとんどです。塾の生徒たちと話していても、「世界史ってカタカナばかりで嫌」「化学は自分には向いていない」「数学のセンスがない」などと先入観にとらわれて、そもそも向き合っていないケースが多いように思います。

大学入試問題は、向き不向きやセンスによって成績に差が出るほど、専門性が高いものではありません。正しく向き合えば、たいがいは理解できるレベルです。ですから、まずはその意識の壁を取っ払うことが大切です。人間関係でも、「この人、苦手だな」と思っていたものの、話してみると意外といいところが見えてきて、仲良くなれたりすることがありますよね。苦手科目も同じで、意識が変わると解決することが少なくありません

15分、カンタンな問題から始めてみる

では、どうしたら意識を変えられるかというと、とことん向き合って、相手(苦手科目)を知ることです。といっても、いきなり分厚い問題集に手をつけようとしたり、5時間も10時間も取り組もうとしたりすると、気が重くて向き合うどころではなくなってしまいます。最初は、単元を絞って15分からで十分。ただし、1問目から手応えのある問題だとこれまたテンションが下がってしまうので、少しレベルを下げてでも解ける問題から手をつけたり、まずは公式を覚えて声に出してみたりと、自分の機嫌をとることを大事にするといいと思います。

一方、「どんな問題集に取り組むか」ですが、10日間で科目の総点検ができるような薄い問題集でもいいし、一つの単元をまとめたものでもいいし、基礎的な問題集の一部をやるでもいいと思います。ただし、解答・解説が巻末にある場合は、解くたびにいちいち答えのページを見るのが面倒になってしまうので、問題と解答・解説が同じページに書いてあるもののほうがベターです。そうでないものを使う場合は、問題と答えをコピーしてノートにまとめて貼り、オリジナルの問題集をつくるのもおすすめです。

そうしていざ解いていくわけですが、1回解いただけでは理解できたとは言い切れません。何度も解いてみてください。と同時に、15分だった取り組む時間も30分、1時間、3時間……と延ばしていってほしいのですが、そうするうちに取り組んだ単元は知識が定着したり、努力が結果に結びついてきたりして、「解くのが楽しい」というところまで心理的な距離も縮まってくると思います。

苦手と仲良くなることが合格への第一歩

実際に私が教える塾の生徒でも、この方法で苦手を克服した人がたくさんいます。例えば、数学が苦手で現役時の大学入学共通テストでは半分も解けなかった生徒がいましたが、まずは確率の問題に絞って集中的に勉強。すると「確率ならどんな問題でも解ける!」と自信たっぷりになったことに加えて、「他の単元もやってみようかな」という気持ちも生まれて数学がどんどん得意になり、京都大学に合格するまでになりました。

また、医学部を志望したものの、学校では理科分野を選択していなかった受験生は、3日連続で化学を集中的に勉強しました。すると、ぼやっとしかわからなくて不安だった化学について「こんな感じなんだな」と把握できて思い込みの壁がなくなり、今では大阪医科薬科大学の医学部に通っています。

苦手を克服した経験は、大学進学後や社会に出てからも、壁に直面したときに乗り越える力になります。正しくやれば必ず克服できますので、「目の前にある苦手こそ、自分を合格させてくれる突破口だ!」というくらいの気持ちで、取り組んでみてください。

弓場 汐莉(ゆば・しおり)/京都大学農学部卒業。部活も勉強も中途半端、浪人した時点では「SVOC? 何それ?」という状態だったのが、わずか2カ月で京大模試のA判定をとるまでに力を伸ばし、京都大学農学部に大逆転合格。「自分はやればできる」と信じられるようになり、今では学習塾「ミスターステップアップ」の講師として、受験生の「頼れるお姉さん」的存在になっている。YouTubeチャンネル「リケジョの相談室」も人気。

(文=竹倉玲子)

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