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自壊する官邸

自壊する官邸 『一強』の落とし穴

歴代最長の第2次安倍政権を検証した連載「未完の最長政権」をまとめた新書が、発売されました。

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第4部インタビュー編

7年8カ月間にわたって政権を運営し続けた安倍政権とはどのようなものだったのか。そして、日本に残したものとは。内政、外交、それぞれの視点から識者たちが語る。

  • 第1回から
  • 最新回から

第3部功と罪 安倍外交の深層

2012年に返り咲いた安倍晋三首相は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げて、世界を飛び回った。7年8カ月の在任中の訪問国は80カ国を数え、長期安定政権を強みに外交課題に取り組んできた。その果実はなんだったのか。「安倍外交」の功罪に迫る。

第3部
主な登場人物(敬称略)

  • 安倍晋三

    安倍晋三(あべ・しんぞう

    父・安倍晋太郎元外相の死去を受け、1993年衆院選で初当選。小泉政権で自民党幹事長。06年に戦後最年少の52歳で首相に就任したが、翌年に辞任。12年に再就任し、20年8月に憲政史上最長の連続在職日数を記録。直後に辞任した。

  • 菅義偉

    菅義偉(すが・よしひで

    秋田県生まれ、高校卒業後に上京。衆院議員秘書や横浜市議を経て、1996年衆院選で初当選。梶山静六元官房長官に師事。第1次安倍政権で総務相。12年総裁選で安倍晋三氏を支援、2次政権で官房長官。09年から無派閥。

  • 今井尚哉

    今井尚哉(いまい・たかや

    安倍晋三氏の最側近。経済産業省出身、第1次安倍政権で首相秘書官(事務)。資源エネルギー庁次長などを経て、2次政権で政務担当の首相秘書官、対ロ交渉など外交にも影響力を持った。

  • 谷内正太郎

    谷内正太郎(やち・しょうたろう

    1969年外務省入省。2005年から3年間、事務次官を務めた。第2次安倍政権のもとで、14年に国家安全保障局が発足すると、初代局長に就任した。

  • 岸田文雄

    岸田文雄(きしだ・ふみお

    1993年衆院選で初当選。第2次安倍政権発足時から4年7カ月余りの間、外務大臣を務めた。在任期間は戦後2番目に長い。自民党岸田派(宏池会)を率い、次の首相候補の一人と目されている。

  • 第1回から
  • 最新回から

日本の外交、経過と課題

  • 米国

    バイデン大統領

    バイデン
    大統領

    経過
    • 「靖国」封印し米国の姿勢に呼応

    • トランプ前大統領と蜜月関係

    課題
    • 安保・通商交渉で摩擦強める

  • 中国

    習近平国家主席

    習近平
    国家主席

    経過
    • 「競争から協力へ」方針転換

    • 「一帯一路」との接点を模索

    課題
    • 「尖閣」問題で成果見えず

  • ロシア

    プーチン大統領

    プーチン
    大統領

    経過
    • 北方領土問題の解決に意欲

    • 「2島」譲歩で逆に手詰まり

    課題
    • ロシア、新憲法で封印の構え

  • 韓国

    文在寅大統領

    文在寅
    大統領

    経過
    • 慰安婦問題、日韓両政府が合意

    • 2018年以降に関係が悪化

    課題
    • 関係改善の糸口、見えぬまま

  • 北朝鮮

    金正恩総書記

    金正恩
    総書記

    経過
    • 拉致問題の解決を掲げるが足踏み

    • 米国の「対話」路線に翻弄される

    課題
    • 交渉ルート開拓が進まず

第2部友と敵 分断する政治手法

敵と味方を峻別(しゅん・べつ)する――それは安倍政権の特徴の一つだった。敵と見なせば、ためらいなく批判を加える一方、身内への甘さがたびたび指摘された。社会に生まれた溝は深まり、いまも修復されずにいる。

第2部
主な登場人物(敬称略)

  • 安倍晋三

    安倍晋三(あべ・しんぞう

    父・安倍晋太郎元外相の死去を受け、1993年衆院選で初当選。小泉政権で自民党幹事長。06年に戦後最年少の52歳で首相に就任したが、翌年に辞任。12年に再就任し、20年8月に憲政史上最長の連続在職日数を記録。直後に辞任した。

  • 菅義偉

    菅義偉(すが・よしひで

    秋田県生まれ、高校卒業後に上京。衆院議員秘書や横浜市議を経て、1996年衆院選で初当選。梶山静六元官房長官に師事。第1次安倍政権で総務相。12年総裁選で安倍晋三氏を支援、2次政権で官房長官。安倍氏の首相退任後、首相に就任。09年から無派閥。

  • 安倍昭恵

    安倍昭恵(あべ・あきえ

    松崎昭雄・元森永製菓社長の長女。安倍晋三氏が父晋太郎氏の秘書時代に知り合い、1987年に結婚。森友学園の国有地取引問題をめぐり、学園が新設予定の小学校の名誉校長に就いていた昭恵氏について政府は「公人ではなく私人である」と閣議決定した。

  • 萩生田光一

    萩生田光一(はぎうだ・こういち

    安倍晋三氏の最側近議員。東京都八王子市議、都議を経て2003年衆院選初当選。第2次安倍政権では自民党総裁特別補佐、官房副長官、党幹事長代行、文部科学相を歴任した。加計学園問題では文科省公表の文書に名前が記され、野党の厳しい追及を受けた。

  • 石破茂

    石破茂(いしば・しげる

    安倍氏と党総裁の座を争った「政敵」。1986年衆院初当選。94年自民を離党し、新進党などを経て97年復党。2012年自民党総裁選では1回目の投票でトップ、国会議員のみの決選投票で安倍氏に逆転負けした。第2次安倍政権では幹事長などを経て閣外へ。

  • 前川喜平

    前川喜平(まえかわ・きへい

    1979年文部省入省。2017年1月、文部科学省による違法な「天下り」問題に関与したとして事務次官を引責辞任。同年5月、加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で「最終的に内閣府に押し切られた。行政のあり方として非常に問題がある」と告発した。

  • 第1回から
  • 最新回から

第1部政と官 強すぎる官邸

平成の政治改革がめざした「官邸主導」の完成形とも言える第2次安倍政権は、史上最長政権となった。しかし、強すぎる官邸は霞が関に暗い影を落とす。そして、その先にあるのが菅政権である。

第1部
主な登場人物(敬称略)

  • 安倍晋三

    安倍晋三(あべ・しんぞう

    父・安倍晋太郎元外相の死去を受け、1993年衆院選で初当選。小泉政権で自民党幹事長。06年に戦後最年少の52歳で首相に就任したが、翌年に辞任。12年に再就任し、20年8月に憲政史上最長の連続在職日数を記録。直後に辞任した。

  • 菅義偉

    菅義偉(すが・よしひで

    秋田県生まれ、高校卒業後に上京。衆院議員秘書や横浜市議を経て、1996年衆院選で初当選。梶山静六元官房長官に師事。第1次安倍政権で総務相。12年総裁選で安倍晋三氏を支援、2次政権で官房長官。09年から無派閥。

  • 今井尚哉

    今井尚哉(いまい・たかや

    安倍晋三氏の最側近。経済産業省出身、第1次安倍政権で首相秘書官(事務)。資源エネルギー庁次長などを経て、2次政権で政務担当の首相秘書官、対ロ交渉など外交にも影響力。菅政権で内閣官房参与。

  • 杉田和博

    杉田和博(すぎた・かずひろ

    警察庁の官僚出身。後藤田正晴官房長官秘書官、内閣危機管理監などを経て、第2次安倍政権で官僚トップの官房副長官(事務)。2017年から内閣人事局長を兼務。菅義偉氏の信任が厚い。

  • 和泉洋人

    和泉洋人(いずみ・ひろと

    菅義偉氏側近の官邸官僚。国土交通省出身。横浜市生まれで、同市議だった菅氏と出会う。第2次安倍政権以降、首相補佐官。沖縄県の辺野古移設、カジノを含む統合型リゾート整備などを推進。

  • 横畠裕介

    横畠裕介(よこばたけ・ゆうすけ

    検察官出身。第2次安倍政権時に内閣法制次長から、小松一郎氏の後任として長官に昇格。政府見解が禁じてきた集団的自衛権行使を容認する閣議決定、安全保障関連法の制定に関わる。

  • 第1回から
  • 最新回から

なぜ高支持率が続いたのか

第2次安倍政権の流れ

(敬称略)
2012年
9月

総裁選

安倍復帰

自民1強ゆりかご期

12月

衆院選

大勝
政権奪還

石破
  • 参院は与党少数で、ねじれ国会

2013年
7月

参院選

自民圧勝

自民1強完成期―安倍1強ゆりかご期

  • 衆参のねじれ解消

  • 集団的自衛権の解釈変更(14年7月)

  • 自民に従うしかない公明党の限界

2014年
9月
谷垣
  • 石破人気への警戒感から、石破が幹事長続投を訴えるも谷垣へ交代

12月

衆院選

大勝

  • 勝てるリーダーとして安倍の力が強まる

2015年
9月

総裁選

無投票2選

安倍1強完成期=絶対的1強

2016年
7月

参院選

自民圧勝

  • 平成最後の参院選で単独過半数を回復

  • 自民の単独過半数で公明の影響力低下

  • 改憲勢力3分の2を確保

8月
二階
2017年
3月

総裁選3選可能に=1強の継続可に

10月

衆院選

大勝

  • モリカケ問題で支持率低落も衆院選大勝、安倍政権不死身神話

2018年
9月

総裁選

石破破り3選

安倍1強溶解=相対的1強

  • 総裁選で派閥に頼ったことで、派閥に配慮した人事をせざるを得なくなる

  • 1強体制への批判が表出し、求心力が落ちる

2019年
7月

参院選

自民単独
過半数を失う

  • 改憲勢力3分の2に届かず、目標に掲げた20年改憲が難しくなる 

2020年
1月

コロナ禍

安倍1強崩壊

  • 通常国会で桜を見る会、黒川検事長の定年延長が批判される中、コロナが広がる

  • 自民党、公明党が、一斉休校などで政権方針を批判、現金給付は変更余儀なく

  • 検察庁法改正案に批判が噴出し、成立断念

8月

首相、辞任を表明

安倍政権が残した三つの課題

7年8カ月続いた第2次安倍政権。「1強」と呼ばれた政権が残した課題とは。

動画

【動画】安倍政権から菅政権へと継承された権力の源泉が、人事権をフル活用した官僚の統治でした。「適材適所」という言葉は、こうした人事のレトリックとして使われてきました。森友問題をめぐる佐川宣寿・財務省理財局長(当時)、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更を行った横畠裕介・内閣法制局長官(当時)、そして黒川弘務・東京高検検事長(当時)の異例の定年延長を図った閣議決定――。7年8カ月にわたる「最長政権」の内幕をひもときます。

動画

【動画】安倍政権は、敵か味方かを峻別した。社会に生まれた溝は深まり、いまも修復されずにいる。

動画

【動画】「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、80カ国を訪問した安倍前首相。安倍外交の内実、その成果とは。

関連リンク

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