料理家・冷水希三子の何食べたい?
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パクチー香る、蒸し牡蠣の香草オイルがけ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は冬に旬を迎える牡蠣(かき)を使ったお料理。いつもはシンプルな味付けで食べる蒸し牡蠣を、香草オイルのソースで香り高く仕上げます。

―― 冷水先生、こんにちは。寒い日が続きますが、風邪などひいていませんか?

冷水 はい、おかげさまで元気いっぱいです!

―― 今日はですね、ちょっとぜいたくな悩みを相談したいなと思いまして……。

冷水 あら、なんでしょう?

―― この時期、東北や北海道の知人からたくさん牡蠣を送ってもらうのです。生で食べたり、蒸して食べたり、色々やるのですが、いつもレモンをかけるとかシンプルな調味で。もちろん最高においしいのですが、たまには違った味で食べてみたいなと思っているんです。

冷水 あ、本当に贅沢な悩みだこと(笑)。

―― なんだか……すみません(笑)。でも、冬に牡蠣を取り寄せて召し上がる方も多いと思いますので、ぜひお知恵を拝借できたら嬉しいなと。

冷水 私も牡蠣が大好きで、産地に暮らす友人に送ってもらうことがあります。ぜひおすすめしたい食べ方があるので、紹介しますね。

―― 嬉しい! 先生は絶対に何か素敵な調味の仕方をしていると思っていたんです。よかった〜。

パクチー香る、蒸し牡蠣の香草オイルがけ
牡蠣を蒸し器に入れる時は、殻が盛り上がったほうを下にして並べます。牡蠣を重ねると火の入りが不均一になるので、重ねないようにします

冷水 蒸した牡蠣にパクチーと長ネギのみじん切りをのせて、そこに熱々にした油をジュッとかけて食べるのが最近のお気に入りなんです。

―― おしゃれ!

冷水 中華で、蒸した魚に白髪ネギをたっぷりのせて、同じく熱した油をかけて食べる料理がありますが、そこから着想しました。

―― なるほど、牡蠣も魚介類ですから、合わないわけないですよね! ぜひ教えてください。

冷水 はい、じゃあまずは長ネギの白い部分とパクチーをみじん切りにします。切ったらボウルなどに合わせて入れておきます。

―― 包丁を使うのはこれくらいですよね、ありがたい!

冷水 パクチーが苦手な方は長ネギだけでも大丈夫ですよ。では次に牡蠣の準備です。今日は加熱用のものを使いますが、もちろん生食用でも大丈夫です。

パクチー香る、蒸し牡蠣の香草オイルがけ
蒸しあがった牡蠣の殻を開ける時も、殻の盛り上がった部分を下にして作業します。おいしい蒸し汁がこぼれないよう、ゆっくりと。牡蠣の身はたいてい上の殻にくっついていますので、ナイフでそっと剥がします

―― わあ、立派な牡蠣!

冷水 牡蠣は蒸すと身が縮んでしまうことがあるので、Mサイズ以上のものを使うのがいいと思います。殻ごと水洗いして、タワシなどでゴシゴシと洗ってください。海藻などが付着していると、ちょっと磯臭くなってしまうのでね。

―― 結構汚れもついていますね、しっかり洗いましょう。

冷水 じゃあ牡蠣を蒸していきましょう。蒸し器やせいろに牡蠣を入れるのですが、この時ポイントがふたつあります。ひとつは牡蠣同士が重ならないように並べること。もうひとつは牡蠣の殻が盛り上がっているほうを下にして置くことです。

―― あれ、ゴツゴツと盛り上がっているほうを下にすると、グラついたりして座りが悪いですよね……。なんでわざわざ下にするのですか?

冷水 牡蠣を蒸すと、身からおいしい汁が出てくるんです。盛り上がっているほうを下にしておけば、そこに汁が溜まってくれるので。

―― なるほど! 平らなほうを下にすると、牡蠣が蒸されて殻が空いた時においしい汁がこぼれてしまいますね。納得です。

冷水 牡蠣のサイズにもよりますが、10〜12分ほど蒸すと少しだけ殻が開いてきます。それがベストな蒸し時間なので、たまに蒸し器のふたを開けて、殻の様子をチェックしてみてください。10分より前に殻が空いていたら、その時点で取り出して大丈夫です。殻が完全に開いてしまうと身が堅くなってしまうので、注意してくださいね。

パクチー香る、蒸し牡蠣の香草オイルがけ
牡蠣の上に長ネギとパクチーをのせてから、熱々にした油をかけます。油ハネに注意してください

―― ここが最大のポイントですね! 

冷水 牡蠣の蒸し上がり時間が近づいていたら、小鍋に太白ごま油を入れて火にかけ、熱々になるまで熱します。

―― あ、ちょっと煙が立ってます!

冷水 はい、少し煙が出るくらいがいい感じです。牡蠣が蒸しあがったので、殻を開けていきます。少しだけ空いた隙間にナイフを入れて、ぐいと上に持ち上げます。くれぐれもナイフの扱いには気をつけてくださいね。

―― 勢い余ってグサッといっちゃうこともありますものね……。でも生牡蠣ほど力を入れずに済むので、助かります。

冷水 この時にも牡蠣の殻の底に溜まった汁がこぼれないよう、慎重にお願いしますね。

―― はい、命の蒸し汁ですから(笑)。

冷水 蠣の殻が開いたら、身の上に長ネギとパクチーのみじん切りをのせて、それをめがけて熱々の油をかけます。牡蠣の身に直接油があたると熱が入りすぎてしまうので、長ネギとパクチーの上にお願いしますね。あと蒸し汁に油が当たるとはねることもあるのでご注意を。

パクチー香る、蒸し牡蠣の香草オイルがけ
牡蠣とオイル、蒸し汁をご飯にのせて食べると、いつもとは少し違った牡蠣ご飯に

―― じゅ〜!という音と、パクチーから立ち上る香りがたまりませんね。

冷水 熱が加わることでいっそう香りが引き立ちますね。さあ、まずは牡蠣だけで食べてみてください。

―― パクチーと長ネギの香りが口一杯に広がって、その後に牡蠣のうまみが追いかけてきます。旬の牡蠣は風味がしっかりしていて、パクチーにも全然負けませんね。お互いが風味を強め合っているような感じがして、最高においしいです!

冷水 ワインにもよく合うので、おつまみや前菜にもいいですよ。もうひとつおすすめの食べ方は、ご飯のっけです。牡蠣の身と、殻に溜まった香草オイル、蒸し汁も一緒にご飯の上にのせて食べてみてください。

―― これはまた……! 和風の牡蠣ご飯とは違った、洋風な感じがいいですね。数滴醬油(しょうゆ)を垂らしても、おいしいかもしれません。

冷水 はい、いろいろアレンジして楽しんでみてください。

―― ぜひまたたくさん牡蠣を手に入れて、作ってみたいと思います!

蒸し牡蠣の香草オイルがけ

◎材料(作りやすい分量)

  • 殻付き牡蠣
    10〜15個
  • パクチー
    2株
  • 長ネギ(白い部分)
    10㎝
  • 太白ごま油
    適量
  • ご飯
    適量
  1. パクチーと長ネギはみじん切りにして混ぜ合わせておく。
  2. 牡蠣は殻をタワシなどできれいに洗う。殻が盛り上がった方を下にして、牡蠣同士が重ならないように蒸し器に並べ、強火で10~12分ほど蒸す。軽く殻が開いてきたら取り出す。
  3. 蒸し上がりの時間が近づいてきたら、小鍋に太白ごま油を入れ、煙が出るくらいまで熱する。
  4. 蒸しあがった牡蠣は殻の中に溜まった蒸し汁がこぼれないように殻を開け、皿に並べる。
  5. 牡蠣の身の上に1のパクチーと長ネギを適量乗せ、3の熱々の太白ごま油を適量かける。そのままでも、ご飯の上に汁や油ごとかけて食べてもおいしい。

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