天国に突然旅立った彼へ 伝えたい感謝と愛のラブレター

フラワーアーティストの東信さんが、読者のみなさまと大切な誰かの「物語」を花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら。
〈依頼人プロフィール〉
大家香子さん 66歳
スクールカウンセラー
大分県在住
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ちょうど3年前、心筋梗塞(こうそく)のため、突然自宅のベッドで亡くなった連れ合いの3回忌に、私の気持ちを込めて特別なお花を贈りたいのです。
大切な人が突然いなくなってしまいました。それでも彼と私の心はどこかで通じていて、いつも見てくれていると信じて、毎日お供えとお花は欠かしていません。今思い出しても涙が出てきますが、彼が亡くなった時、私はすぐ隣の部屋にいました。「血圧高めだけどタクシーで病院に行くほどでもないかな。とりあえず今日は休む」といって、ベッドでテレビを見ていました。
夕方、「晩御飯何にする?」と声をかけると反応がない。眠っているのかなと側に行き、声をかけてみても起きません。「あれ、気絶している?」と思った時には、すでに心臓が止まっていたようです。あわてて救急車を呼びました。救急車の中でもずっと心臓マッサージをしてくれましたが、病院で「心肺停止」と診断されました。思いもよらない、あまりに突然の別れでした。「どうして?なぜ?」という思いが頭を巡りました。そして私は、いまだに心の整理ができません。
「あの朝病院に行っていれば」「もしかして私がコロナにかかって彼にうつしたから後遺症かも」。考え始めるとどんどん自分を責めています。でも、「一人暮らしではなくて側にいてくれる人がいたからよかった」と周囲が言ってくださった言葉を何度もかみしめています。
シングルマザーだった私が、55歳で初婚だった彼と出会ったのは58歳のときです。「私の方が三つも年上だけどいいの?」と聞くと「その方が同じ頃に死ねるかなと思って」が彼の答えでした。
結婚して生活を共にするようになっても、過去を自慢したり、懐かしむようなことが一切ない人でした。若い頃の写真は本人が亡くなってから、初めて見つけたほど。無口でしたが、私にとっては本当に頼りになる、助っ人で、参謀で、影武者のような人でした。コロナ禍では、在宅でリモート授業をするPC音痴の私の後ろでそっと操作を手伝ってくれ、その後、自分のPCの前に戻り、黙々と仕事をし、必要な物があればすぐネット注文してくれる。そんな気の利く人でもありました。
若い頃の就職先はPC関係で、深夜まで残業続きとハードだったそうです。そのため夜間等に英会話スクールに通い習得し40代で外資系のソフトウェアの会社に転職を果たすなど、誠実な努力家でした。
一方、糖尿病で食事の糖質を控えていたり、60歳記念で受けた脳ドックで、まさかの「もやもや病」という難病も見つかり、予防の為に脳のバイパス手術をしたり等、病気とのつきあいは結構忙しい人生でした。
そうして天国に旅立っていった彼に、感謝の気持ちと愛情を込めたラブレターとして、ステキなお花を贈ってあげたい。きっと喜んでくれると思い、応募しました。

花束をつくった東さんのコメント
感謝の気持ちと愛情を込めたラブレターのようなお花……そんなお気持ちが伝わって、お供えではなくウエディングで人気のカラーというお花を使いました。また旦那様の賢くてスマートなお人柄から、全体的にクールでカッコいいイメージに仕上げています。
普段はここまでカラーの本数を使うことはあまりないのですが、同じ花をたっぷり使って重ね合わせることで、強い思いでつながっていたお二人の日々の厚みや重みのようなものを表現できていたらいいと思います。




文:福光恵
写真:椎木俊介
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。選んだ物語を元に東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
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