Still Water

Still Water

「らせん状に一回りして進化した、ファーストアルバムの回帰的な作品になりました」。OvallのShingo Suzuki(B)は、4作目のアルバム『Still Water』についてApple Musicに語る。ファーストアルバム『DON'T CARE WHO KNOWS THAT』をリリースしたのは2010年。世界的に新しいジャズの潮流が注目され、多様なジャンルのクロスオーバー化が進む時代に、彼らは日本から先鋭的な作品を発表し、幅広い層のリスナーから喝采を浴びた。ジャズやヒップホップ、ソウルなどさまざまなジャンルをシームレスに横断するサウンドは、至るところで分断が起きている世の中で自由な快適さを感じさせるものでもあった。それから時は流れて2024年、Ovallはさらに開かれた感性が息づくクロスオーバーサウンドを奏でた。Suzukiはタイトル『Still Water』について、「世の中が目まぐるしく変わる中、動かぬ水のようにじっと腰を据えながらも、どんな姿にも形を変えることができて進んでゆく様子を現在進行形のOvallに重ね合わせました」と振り返る。まさにOvallというバンドの在り方を詩的に表したタイトルといえるだろう。 今回アルバムを制作するにあたって、3人は各楽曲を丁寧に作り込みながら、自分たちが自然と向かう方向を探った。「初めから統一感を持たせようと曲調をそろえることもなく、『Ovallでこのテイストをやったらどうなんだろう』と考えてさまざまな雰囲気の曲を作りためていったので、結果ファーストアルバムのようなバラエティに富んだカラフルなアルバムになったのかもしれません」と、彼は分析する。その新しい試みの一つが、幕明けを飾るナンバー「Cubism」であり、mabanua(Dr)は「これほどアッパーな曲は今までOvallで無かったと思う。歌も歌詞ではなくスキャットのみで歌うというのがキャッチーさも含め新しい試みでした。EDMではなくソウルミュージックとしてのダンス曲だと思います」と説明する。外向きのエネルギーに満ちた「Cubism」と対照的なのが、メロウなグルーヴが心を落ち着かせる「Neon」。関口シンゴ(G)は「こうした内省的な静けさもこの3人の持ち味だと思います。多面的な聴き方で楽しんでもらえたらうれしいです」と語る。 前作『Ovall』(2019年)との間にはコロナウイルスの感染拡大も起こった。まるで世界が止まったような日々の中、3人はそれぞれにできることを探り、アイデアを出し合い、音楽を鳴らし続けることを諦めなかった。「影 feat. さらさ」はその軌跡を伝えるナンバーで、コロナ渦で黙々と自宅スタジオでデモを作りためた中の一つが日の目を浴びたとSuzukiは言う。「僕のパソコンの中にあったmabanuaのドラムのビートを鳴らしながら、シンセサイザーでメロディやコードなど主軸を作り、セッキー(関口シンゴ)に似合うギターのフレーズを弾いてもらいエディットして完成したインストトラックです。作っている最中からさらさの声が頭の中に鳴っていて、彼女に歌と歌詞をお願いしました。さらさのブルージーでありながらも透明感のある歌声が日本語でシンクロするこの楽曲は、Ovallの温度感をよく表現している。歌詞の世界観を堪能してほしいです」 3人は各曲で新しい一面を見せながら、終盤の「Find you in the dark feat. Nenashi」でバンドの原点回帰的なサウンドに行き着く。「今までのどのアルバムに入っていてもおかしくないというか、タイムレスでOvall結成当初の“空気”を感じさせてくれる。古くからのチームの一員であるNenashiが歌ってくれたというのも大きいですが、言葉にしきれない懐かしさを感じさせてくれる曲になりました」とmabanuaは紹介する。彼らは時代の大きな流れに沿ってしなやかに泳ぎつつも、ルーツを見失うことは決してない。それが“変わりゆくことを変えない”バンド、Ovallの流儀なのだ。

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