

名義変更して復帰を果たし、前作『STAR』からわずか3か月で発表したセカンドアルバム。2025年7月の日本武道館公演を前に、複数のアルバムリリースが予告される中、膨大にあるとみられるストックからスター性にまつわる曲がまとめられた前作に対し、本作では“お金”にフォーカスした曲が中心になっている。プロデューサーは復帰以降のプロダクションパートナーであるKoshyに加え、ミーガン・ジー・スタリオンほかを手掛けるDiego Ave、Bankroll Got Itが参加。ミニマルで無機質なビートに映えるラップの淡々とした語り口と、具体的な固有名詞を交えた平易な表現、分かりやすいフロウにより、「稼ごう」をはじめ、自身の稼ぐ日常や財力をさまざまな角度から誇示する。ただ、その表現世界はセルフボースティングと呼ぶにはあまりに冷たく乾いていて、聴く者がそれぞれの解釈を投影することで、全16曲は多彩な表情を見せ、際限のない幅や奥行きが感じられる。