コース: 職場での公平性:インクルージョンとビロンギングを育む

男性にとってのジェンダーの公平

男性を自認する人にとっても、 公平について考えることは重要です。 ジェンダーの不平等は女性だけの問題と 思われがちですが、性役割観についての 規範や固定概念のために、男性も 職場で不公平を経験することがあります。 研究によると、社会規範が男性らしい 言動についての固定概念につながります。 たとえば、育成型の言動をする 男性リーダーは女性的と見なされ、 男性からも女性からもリーダーとしての 評価が低くなるという調査があります。 成功するリーダーの特性として挙がるのは、 はっきり主張する、競争力がある、 現実的な成功に集中するなど、 いまだに多くは男性的な内容です。 女性に対する固定概念の多くは、 柔和、育成、協調的などです。 多くの男性にとってこうした 伝統的固定概念に沿って生きるのは 簡単でなく、男らしく心身とも 強くあるべきという概念が プレッシャーになる場合があります。 感情を見せることも弱さの表れと 見なされます。 多くの職場では、育児は女性がするもの、 育児休暇は女性が取るものという 古い考え方で、いまだに男性に 長期の育児休暇を認めていません。 また多くの場合、その方針は 同性カップルやシングルファーザーには 認められていません。 米国では育児介護休業法、 通称 FMLA(エフエムエルエー)で 男性にもさまざまな理由による休暇が 認められていますが、 そのほとんどは無給休暇です。 ヨーロッパの多くの国には 米国よりも進んだ法律があり、 出産や養子縁組のために雇用主が 男女両方に一定期間の給与を 支払うことを義務付けています。 男性も対象とするというルールがある 職場であっても、周りからの 古い固定概念に苦しむ場合もあります。 ある聴き取り調査で、上司はしぶしぶ 育児休暇を許可してくれたが 「主夫」になることに対して 嫌味を言われた、と 話してくれた男性がいました。 彼が仕事に復帰したとき、明らかに 扱いが違うのを感じたそうです。 新しいプロジェクトには 配属されなくなりました。 上司からは「その件は 君が休んでいる間に進んだので、 状況がわかっている別の人に任せた」 などと言われるようになりました。 女性と同じように、ハイブリッド労働環境は 在宅勤務する男性にとっても 不利に働く可能性があり、 重要な決定から外されたり、弱い人、 仕事熱心でない人と見なされる 可能性があります。 女性のほうが職場で不公平を 被っているという調査は多くありますが、 ジェンダー規範に基づく方針や 慣行が男性にも不利になる点についても、 考える必要があります。

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