「セックスしても射精できない」「硬さ不足の改善法は?」名医が回答!
プライベートケアクリニック東京 東京院院長の小堀善友先生(前編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。2025年3月の回答者は、男性の性機能障害に詳しいプライベートケアクリニック東京 東京院院長の小堀善友先生です。

編集部:プライベートケアクリニック東京 東京院院長の小堀善友先生は、ED(勃起障害)や射精障害など男性の性機能障害に詳しいエキスパートです。日経Goodayでも「男性不妊症の実態と治療法」という記事にご登場いただいています。そんな小堀先生に向けて読者からの質問を募集したところ、たくさんのお悩みが寄せられました。小堀先生の回答を、前編・後編の2回に分けてお届けします。
小堀氏(以下敬称略):よろしくお願いします。
編集部:では、さっそく最初の質問です。
射精の快感がなくなった原因は?
あるときから射精しても快感がなくなりました。何が原因でしょうか?(69歳男性)
編集部:年をとると勃起力が落ちますが、射精の快感も弱くなることが多いようですね。
小堀:そうですね。精液量も加齢とともに減少することが分かっています。
編集部:どんなことが原因でしょうか?
小堀:例えば糖尿病など、原因がはっきりしている場合もありますが、いろいろな要因が絡んでいるので一概には言えません。「ED診療ガイドライン第3版」にはEDのリスクファクターが12個挙げられています。「加齢」「糖尿病」「肥満と運動不足」「心血管疾患および高血圧」「喫煙」「テストステロン(男性ホルモン)低下」などです。

編集部:なぜ糖尿病になると性機能が衰えるのですか?
小堀:糖尿病というのは「血管がボロボロになっていく病気」ですから。血管と神経に障害が起こるのですが、それによって勃起や射精に関わる血管と神経も影響を受けるわけです。
編集部:高血圧や喫煙がいけないのも血管障害を進めるからですね。
小堀:射精には3つの段階があります。第1の段階が「エミッション(Emission)」。これは拳銃に弾を込めるようなイメージで、要は精液がギュッと分泌されて前立腺に送られるわけです。2番目の段階が「膀胱頸部の閉鎖」で、膀胱に精液が逆流しないようにします。3番目が「エジャキュレーション(Ejaculation)」で、狭い意味での射精です。平滑筋が律動的に動いて尿道から精液を放出します。3つのうち、どこが障害を受けるかによって、治療方針が変わってきます。